〝世界のまあちゃん“ こと、若宮正子さんに聞きました。
藤沢市に在住で、全国的にデジタル社会の実現に向けた普及・啓発に取り組まれている若宮正子さんが、「ふじさわデジタルアンバサダー」に就任されましたので、早速、お話を伺いました。
私はデジタルの専門家ではないんですけれど、AC広告(*)に出て、やたらと有名人になって顔が売れました。これは1つの財産ですから、有効に活用しています。藤沢市としても、市民であり顔を知られている私がお勧めするのが効果的と思われたのではないでしょうか。
海外に比べて日本は、60代以上のデジタルの利用が極端に少ない状況です。スマホ利用の楽しさや、暮らしに役立つ必要な道具であることを皆さんにお伝えてしていきたいと思っています。
(*)ACジャパン広告「バッターボックスに立つ87歳(2022年度全国キャンペーン)」
毎日のように地方に出かけていますが、講演を依頼されるのは自治体が多いです。高齢者の方は何かやっていただけて当たり前みたいに思われている方もいますが、自治体は、少子高齢化が進んだら支えきれないことが分かっていて、それが悩みだと聞きます。スマホの導入講習会に、「あんなものはいらん」という人に参加していただくためには、顔が知られている私が、いいらしいです。
スマホは、万能電動小箱!
- 電話、カメラ、テレビ、財布、懐中電灯、虫眼鏡、自宅の鍵などに利用できる。
- 度忘れした時は検索すればいい、思いつく言葉を入れると教えてくれる。
- 忙しい相手とのお付き合いには、メールやメッセージが有効。
都合の良い時に見て、返事が来る。言い間違い・聞き間違いの防止、繰り返し確認可能 - 「デジタルは、あなたの命を守ります。」という、危機管理に有効。
自治体からの災害情報・避難指示の一斉配信、家族・知合いの連絡などが可能。
Q.講習会には来るけれど、デジタルが日常に定着しないのはなぜでしょう?
基本的なことを学んでも、日常的に使っていないと忘れてしまう。つまり、自分のものになっていないからだと思います。また、なぜITをやらないのか聞くと、「生活に必要ないから」と言う方が多いです。「使い方が分からないから」という理由だけではないようです。まずITの必要性、楽しさを知っていただくことが大切だと思います。
Q.定着させるために、何かヒントはありますか?
『日常的に使う。』、『必要な道具とする。』
字を書くとか、音声を文字化することを先に覚えるのがいいと聞きました。家族など親しい人に、身の周りの質問をLINEのグループなどに書いて聞く。そうすると記録が残るから、同じことを何度も聞かなくていいので助かります。
また度忘れした時、ヒントになる簡単な言葉を並べて検索すると、候補を教えてくれます。簡単な書き方でいいのです。日常的に使って自分のものにするため、具体的に役に立つものをどんどん作っていくのがいいと思います。
グループを作ると楽しい!
質問する時、LINEのグループを作り、わからないことをそこに書いて、わかっている人に返事をもらう方法もあります。
私の所属するメロウ倶楽部は、全国に会員がいてネットでつながっています。入会の時はデジタルの世界が十分理解できていない方もおられるのですが、グループ内の話題に興味を持つと、難しいことも理解するようになります。中にIT相談室があって、質問を出すと、気付いた人が返事を書きます。また、オンライン会議では寝たきりの人や車いすの人も参加して、日ごろの話をし、励まし合っています。
グループは大きくする必要はなくて、家族や気の合った友人だけでもいいと思います。
Q.スマホ利用の注意点をお願いします。
SNSのお友達について、最初は家族などのごく親しい人とでやりとりして、慣れたら少しずつ相手を増やしていくっていうのがいいと思います。
オフラインでも付き合っている人だったら、トラブルがなく安心ですね。
Q.元気の秘訣は?
健康に気をつけていることは、特にないです。
講演会が終わった後、懇親会に夜遅くまで付き合いますし、好き嫌いもアレルギーもないので、食事はその時に食べられるものを食べます。
友達が言うには、今やっていることが私の天職なんだそうです。出かけ好きで、お喋りで、人見知りしない。要するに、一番向いてる仕事なんだそうです。そんな毎日なので、元気でいられるのでしょう。
高齢者が楽しそうにしてると、街が明るくなる。
講演会で会うシニア世代の方に、「高齢者と言うと暗いイメージしかなかったので、もう年はとりたくないなんて思ってたけど、高齢でも楽しく暮らしてる人を見て、歳を取るのが楽しみになってきました。」と言われます。楽しそうに元気に生きていれば、見た人が、『ああいう老後が待ってるんだ』と思うんですよ。だから、若い人達が明るくなります。
ご自身は「専門家ではない」と言われますが、会社を退職した30年前にパソコンを買い、インターネットで各地の人と交流し、エクセルアートを始めるなど存分に使いこなしていらっしゃいます。更に82歳でスマホのアプリを作り、今や世界的な有名人です。国内事情だけでなく海外の状況を交えたお話は、多岐に渡りました。1回では掲載しきれない内容を、後日「続き」に掲載します。(編集部)